個としての価値はなく、人間を人数としてしか見ていない施設の話。選挙投票や口コミ操作を目的として、裏世界からの依頼に応えるために人数を確保しており、飼われている人間は、衣食住は何不自由なく、戸籍を捨てて自由に暮らしている。
設定は面白く、日本の選挙制度やネット活動のように”数”が重要な事物への皮肉を感じる。
そんな世界に順応している住人に対し、薄気味悪い雰囲気を覚える主人公。物語終盤でそんな世界からの脱出を試みるのだが、個人的には薄気味悪いままで終わらせてもよかったなと思う。
投票用紙や文字で人間の気持ちを表現しようとするから、文字にできない部分が抜け落ちる。しかし、仕方がない。